相続税の課税対象と具体的な計算方法の基礎知識
相続税は、亡くなった人の財産を引き継いだときに発生する可能性がある税金です。
対象になる財産の種類や計算方法を理解しておくことで、事前の対策やスムーズな申告が可能になります。
今回は、相続税の基本的な仕組みと計算の流れについて整理していきます。
相続税の課税対象となる財産
相続税の対象となる財産は、亡くなった人(被相続人)が亡くなった時点で所有していたすべての財産です。
不動産や預貯金、有価証券といった一般的な資産だけでなく、車や骨とう品などの動産も含まれます。
さらに、次のような財産も課税対象に含まれます。
- 死亡保険金(ただし、一定の非課税枠あり)
- 死亡退職金
- 相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産
一方で、墓地や仏壇など、日常礼拝に使用されるものは非課税となっています。
また、債務(借入金など)や葬儀費用については、課税価格から控除が可能です。
基礎控除と課税対象額の算出
相続税は、一定額までは課税されません。
この「基礎控除」は、法定相続人の人数によって決まります。
計算式は以下のとおりです。
基礎控除額=3000万円+ (600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4800万円となります。
遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は発生しません。
相続税の計算の流れ
相続税の大まかな計算手順は以下のとおりです。
- 遺産総額を算出する
- 債務や葬儀費用などを差し引いて正味の遺産額を出す
- 基礎控除を差し引いて課税対象額を算出する
- 法定相続分で分割したと仮定して、各人の税額を計算する
- 相続人ごとの控除(配偶者控除など)を反映して最終的な納税額を決定する
税率は、相続する財産額に応じて10%から55%までの累進課税です。
たとえば、法定相続分で1人あたり2000万円を超える部分には、15%以上の税率が適用されることがあります。
税額に影響する要素
相続税の金額に大きく影響する要素のひとつが「財産評価」です。
特に不動産は路線価や固定資産税評価額に基づいて評価されますが、実勢価格とは異なる場合もあります。
また、特例を利用することで評価額を下げられるケースもあります。
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者控除
- 未成年者控除、障害者控除
これらを適切に活用することで、納税額が大幅に減ることもあります。
まとめ
相続税は対象となる財産の範囲や計算方法を理解していないと、思わぬ税負担を招くことがあります。
財産の種類や評価の方法、基礎控除や各種特例を踏まえたうえで、適切な対策が重要です。
不安な場合や手続きに迷う場合には、税理士に相談することで適切なアドバイスを受けることができます。